新聞記事を読むと、文末表現には「だである調」が使われています。一方で、ウェブ記事の大半は「ですます調」で書かれています。
これから文章を書こうと思っている人の中には、文末を「~です。~ます。」にするべきか「~だ。~である。」がいいのかわからない!という人もいるのではないでしょうか?
結論を先に言うと、読み手にどのような印象を与えたいか、読者とどのように接したいかで、両者の使い分けが必要になってきます。
ここでは、さらに詳しく、
- ですます調・だである調が読者に与える印象
- どの文章にどちらを使うべきか
- 文末表現で注意すべき点
を紹介していきます。
ですます調とだである調の特徴と印象
まずは、次の文章を読んでみてください。
上手な文章を書きたいなら、まずは読書がおすすめです。本を読めば、自然と文章の書き方が身につくからです。
最近は、電子書籍で気軽に本を読むことができます。しかし、何度も目を通すのであれば、書籍で読むのがいいでしょう。
上手な文章を書きたいなら、まずは読書をおすすめしたい。本を読めば、自然と文章の書き方が身につくからだ。
最近は、電子書籍で気軽に本を読むことができる。しかし、何度も目を通すのであれば、書籍で読むのがいいだろう。
全く同じ内容の文章を、「ですます調」と「だである調」で書いただけです。
内容が同じでも、与える印象が違うということがわかります。
それぞれの文末表現のメリットとデメリットをまとめました。
ですます調 | だである調 | |
利点 |
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欠点 |
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どちらにも利点と欠点がありますが、どこに何を書くかによって、適した文末表現が変わってきます。
メリットとデメリットを深く見ていきます。
ですます調が与えるイメージ
ですます調の利点 | ですます調の欠点 |
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ですます調は丁寧な印象を与える
だである調と比べると、ですます調は読者に丁寧な印象を与えることが可能。
そのため、文章を読んだ人に嫌なイメージを持たれる可能性が極めて少なくなります。
それによって読者の心をつかみやすくなるので、何かを紹介する文章、解説する文章によく使われます。
ですます調は説得力に欠ける
丁寧で親しみやすいというメリットがある一方で、ですます調で書かれた文章には説得力に欠ける部分があります。
あくまでも、だである調と比べた場合であって、説得力自体がなくなるというわけではありません。
しかし、そういった特徴があることから、論文やレポートなどの、相手を説得させたいような文章には適していないと言えます。
だである調が与えるイメージ
だである調の利点 | だである調の欠点 |
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だである調には説得力がある
簡潔に言い切ることのできる「だである調」を使えば、文章に説得力を持たせることが可能だ。
また、文章に権威性を持たせたいのであれば、「だである調」を使うのは非常に効果的である。
それ故、レポートや論文には「ですます調」よりも「だである調」が好んで使われる。
こんな感じで、文章の印象が大きく変わりますね。何となく説得力があるような感じがするんじゃないでしょうか。
だである調は威圧的になりがち
「だである調」は、使う場面を間違えると読者に冷たいイメージを与えることになる。
また、上からものを教えるような印象があることから、威圧的だとさえ思われてしまう。
読者に違和感を持たせないためにも、「だである調」を使う場合は十分に注意すべきだ。
読者によっては「うるせーよ」「お前が言うな」みたいに受け取る人もいるかもしれません。
だである調を使うだけで権威性が出ますが、その分、間違いや誤字脱字への評価が厳しくなりがち。
確かな情報を、きれいな文章で書く必要があります。
ですます調とだである調の使い分け
それでは、それぞれの表現はどのような場面で使うのが適しているのでしょうか?
ですます調に適した文章 |
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だである調に適した文章 |
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どちらも使える文章 |
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大まかに分けるとこんな感じ。
ですます調に適した文章
ですます調に適した文章は以下の通り。
- 解説記事
- 説明記事
- 紹介記事
- 手紙
- メール
解説記事を例に見ていきましょう。
かなり多くの方がやってしまっているタブーがしょうゆをわさびに溶かす行為だ。
しょうゆにワサビを溶かしてしまうと、わさび本来の味や香りが損なわれる。
そもそも、和食において「混ぜる」という行為は基本的に良くない行為なのだ。
「良くない行為なのだ」と言い切ることで、混ぜるのがよくないという言葉に説得力がでてきます。
それと同時に、ちょっと威圧的な印象がありますね。
以下が元の文章。
かなり多くの方がやってしまっているタブーがしょうゆをわさびに溶かす行為です。
しょうゆにワサビを溶かしてしまうと、わさび本来の味や香りが損なわれます。
そもそも、和食において「混ぜる」という行為は基本的に良くない行為なのです。
明らかに、こちらの方が親しみやすく、何となく受け入れやすいという感じがするんじゃないでしょうか?
だである調で解説するのがダメと言うわけではないですが、読者にすんなりと違和感なく伝えたい場面では、ですます調の方が適しています。
解説文や説明文を書く際に使ってみましょう。
だである調に適した文章
- 権威性
- 説得力
- 簡潔
この辺りを表現したいのであれば、だである調は有効です。
それを踏まえると、だである調に適した文章は以下の通り。
- 新聞
- ニュース記事
- 論文
- レポート(報告書)
- 箇条書き
説得力や権威性を出すべき論文を例に見てみましょう。
まずは、ですます調に書き換えた文章。
1985 年「男女雇用機会均等法」が成立しました。これにより女性の社会進出に対する取組みが積極的に行われるようになってきました。
女性の社会進出が進むにつれて、正規雇用者・パート・アルバイト・派遣社員といったように雇用形態が多様化してきました。
雇用の非正規化は主に女性で進展しており、非正規雇用者の賃金は低い水準で停滞しているため、男女間はもちろん、女性の正規・ 非正規間の賃金格差が拡大しています。
論文なので漢字が少し多めですが、まぁ読みやすく、すんなりと入ってくるのではないでしょうか?
以下が元の文章。
1985 年「男女雇用機会均等法」が成立した。これにより女性の社会進出に対する取組みが積極的に行われるようになってきた。
女性の社会進出が進むにつれて、正規雇用者・パート・アル バイト・派遣社員といったように雇用形態が多様化してきた。
雇用の非正規化は主に女性で進展しており、非正規雇用者の賃金は低い水準で停滞しているため、男女間はもちろん、女性の正規・ 非正規間の賃金格差が拡大している。
論文:女性の社会進出に関する制度と問題点より
見事に権威性が現れ、内容が簡潔にまとまっている感じが出ていますね。
「ですます」を「だである」に変えただけで、読み手の受け取り方ががらりと変わります。
こういった文章が書けるとカッコイイですね。
どちらも使える文章
次の文章には、ですます調とだである調のどちらも利用できます。
- コラム
- 体験談
- ブログ
どっちでもいいですが、それぞれに以下の効果があります。
ですます調
- 読者との距離が縮まる
- 読者に親しみを持たれる
だである調
- 読者と一歩距離を置く
- 文章のテンポがよくなる
コラム記事を例にして見てみましょう。
ペットの話をするとき、犬派と猫派で意見が分かれることが多い。
犬は飼い主に忠実で、社交的な動物である。家族や親友だと言われることもあり、いつも隣で寄り添ってくれる。
一方、猫は独立心が強く、長年飼っていてもよそよそしい態度をとることがある。そこが神秘的でたまらないという人も多いのだ。
ペットの話をするとき、犬派と猫派で意見が分かれることが多いです。
犬は飼い主に忠実で、社交的な動物です。家族や親友だと言われることもあり、いつも隣で寄り添ってくれます。
一方、猫は独立心が強く、長年飼っていてもよそよそしい態度をとることがあります。そこが神秘的でたまらないという人も多いのです。
どっちがいいというわけでもないですが、ブログなどでは自分のスタイルにあった表現を選びましょう。
ですます調とだである調の注意点
1つの文章は統一させる
ですます調とだである調は、同じ文章で併用できません。
ペットの話をするとき、犬派と猫派で意見が分かれることが多いです。
犬は飼い主に忠実で、社交的な動物だ。家族や親友だと言われることもあり、いつも隣で寄り添ってくれます。
一方、猫は独立心が強く、長年飼っていてもよそよそしい態度をとることがある。そこが神秘的でたまらないという人も多いのです。
違和感しかないですね。
文章の意味自体は変わりませんが、何となく読みにくく、文章が下手な人だな、と思われてしまいます。
1つの文を際立たせるために、意図的に「ですます」を「だである」にする方法もありますが、慣れないうちは統一させるのがいいでしょう。
なお、ですます調に箇条書きを挟む場合は、だである調が使えます。
犬派の言い分には、以下のようなものがあります。
- 飼い主に忠実だ
- 社交的な動物だ
- 家族や親友のようなものだ
読者に分かりやすく伝えるための箇条書きなので、ですます調よりも簡潔な、だである調の方が視覚的にも伝わりやすいのです。
文末表現が連続しないように注意
ブログをはじめ、多くの人はですます調を使って文章を書くことになります。
しかし、そこで気を付けなければならないのが、文末の表現が連続すると、違和感が生まれるという点。
ペットの話をするとき、犬派と猫派で意見が分かれることが多いです。
犬は飼い主に忠実です。また社交的な動物です。家族や親友だと言われることもあり、いつも隣で寄り添ってくれるのです。
連続する文章が、全て「です」で終わってしまうと、変な不快感が出てしまいます。
表現は色々あるので、文末が全て「です」や「ます」で終わらないように気を付けましょう。
ですます調・だである調の与える印象まとめ
今回のテーマをまとめていきます。
ですます調 | だである調 | |
利点 |
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欠点 |
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これらのことから、どちらを使うかは、自分がこれから書こうとする文章の種類によって分けた方がいいでしょう。
一般的なのは以下の通り。
ですます調に適した文章 |
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だである調に適した文章 |
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どちらも使える文章 |
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絶対に「ですます調」じゃないとだめだ、「だである調」でなければおかしくなる、というようなことはないので、シチュエーションに合わせて上手に使い分けましょう。
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