日本語の数ある助詞の中でも、「が」と「は」の使い方は非常に難しいとされています。
例えば以下の例文。
犬は、うんこをした。
意味は全く同じですが、助詞の「が」と「は」が異なります。
1つの短い文章だけでは、その違いを明確に伝えるのは難しいです。
文章中にちりばめられている「が」と「は」は、主に以下のように分類可能。
「が」の特徴 | 「は」の特徴 |
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これを見ただけでは、よくわからないと思います。
本文では例文を使って、それぞれの用法をわかりやすく紹介しているので、これを読めば「が」と「は」の違いが明確にわかるでしょう。
「が」と「は」の明確な2つの違い
冒頭で「が」と「は」の特徴をいくつか並べましたが、とりあえず明らかに違うとわかるのが以下の2つ。
- 「が」は「は」にはない排他・強調効果を持つ
- 「が」は新しい情報に、「は」はすでにある情報に使う
これを詳しく紹介していきます。
「が」は「は」にはない排他・強調効果を持つ
「が」を使うことで、その前の主語が他とは違うんだということを表現できます。
この家は私の家です
この家が私の家です
どちらも、この家が自分のものだと主張する文章ですが、ニュアンスが異なります。
「この家は私の家です」では、単純にこの家が私の家だよ。と紹介しているだけ。
対して「この家が私の家です」では、たくさん並んでいる家の中から、他の家ではなく、この家だけが私の家だと伝えています。
数ある選択肢の中から、他の選択肢を取り除いているんですね。
何人かいる人の中で、前に話していたライターというのは他の人ではなく彼のことですよ。という表現ですね。
こうすると排他や強調の効果がなくなり、単純に「彼はライターをしています」という紹介になります。
「が」は新しい情報に、「は」はすでにある情報に使う
「が」は、文章の冒頭、もしくは文章の流れが変わって他の話題に移る場合によく使われます。
それは、それまでには出ていない新しい情報を伝えるから。
ワンピースの最新刊の話をしていこうというときに、まずは聞き手に「ワンピースの最新刊」という新しい情報を与えることになります。
その時に使われる助詞が「が」です。
2文目では、ワンピースの最新刊の情報が既に入っている状態で話を進めるため「は」が使われます。
これでも文章的にはおかしくありませんが、これは「が」の特徴でいうところの、排他と強調を表す「が」です。
「ワンピースで売り上げが一番いいのって何巻?」という質問に対して、「他の巻ではなく最新刊なんだよ!」というニュアンスですね。
他の巻を取り除き、最新刊を強調しているのです。
ラーメンの話題から新入社員の話に話題を変えている状況で「が」を使っています。
そして、聞き手が既に知っている「新入社員が来る」という情報に、追加で情報を付け加える際には「は」が使われます。
文章の流れで「が」と「は」を理解する
「が」と「は」を、少し長い文章で見てみましょう。
冒頭で述べた、いくつかの表現が使われていることがわかります。
①庭に犬と猫がいます。
②犬はうんこを、猫はおしっこをしました。
③犬のうんこあっては、せっかくの庭が台無しです。
④一方、猫はおしっこをした場所に砂をかけました。
⑤それでも猫のおしっこの方が臭いです。
それぞれの文章を解説していきます。
①には「が」、②には「は」が入る理由
①庭に犬と猫がいます。
②犬はうんこを、猫はおしっこをしました。
冒頭の文章では、まっさらな状態から「犬と猫がいる」という情報を読者に伝えることになります。
一方で、2文目では、既に読者は「犬と猫がいる」という情報を知っているため、「が」ではなく「は」を使います。
- 「が」は新しい情報を提示する
- 「は」既にある情報に使用する
これに当てはまりますね。
逆に、②を「が」にしても意味は通じます。
この「が」は、以下のどちらかに当てはまります。
- 主語の動きや状態を表す
- 排他と強調を表す
主語の動きや状態を表す「が」として使うのであれば、全く問題はありません。
しかし、1つ前の文章との関係を考えると、「は」を使う方が適しています。
③の「は」は条件を表している
これは「が」に置き換えられないので、「は」が使われるというのは何となくわかりますね。
意味を説明すると、ここで使われている「は」は、条件を表す助詞としての「は」です。
- うんこがあると、庭が台無しです。
- うんこがあっては、庭が台無しです。
これはどちらも同じ意味。
しかし2番の方が「本当に台無しになってるよ」という感じが伝わってきます。
④の「は」は他の状態との区別を表す
犬はしないけど、猫は砂をかけるという、犬の状態としっかりと区別するための「は」です。
これでも文章的にはおかしくないですが、ニュアンスが少し変化します。
- 主語の動きや状態を表す
- 排他と強調を表す
「が」の特徴である、これらに当てはまります。
単純に「猫が砂をかけている」という、猫の動作を表す「が」という意味があります。
もしくは、砂をかけたのが犬なのか猫なのかわからない人に対して、「砂をかけたのは犬ではなく猫ですよ」という意味合いを込めることが可能。
⑤の「が」は強調を表す
犬のうんこもあるけど、それよりも猫のおしっこの方がさらに臭い。と言うように、「が」を使うことで臭さを強調しています。
無理やり「は」を使うと、こういった文章が出来上がります。
この「は」にも強調の意味合いがありますが、犬のうんことは比較しておらず、ただただ猫のおしっこが臭いという意味を強めているだけ。
比較したうえで強調したい場合は、「が」を使うことになります。
「が」と「は」の使い分けまとめ
日本人が何げなく使っている「が」と「は」ですが、いざ説明しようと思うと非常に難しいです。
「が」と「は」の大まかな違いは以下の通り。
「が」の特徴 | 「は」の特徴 |
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文章を読んでいて「あっ、この「が」は排他と強調を表してるんだな」などと毎回気にする必要はありません。
しかし、どういった意味合いが込められているのかがわかっていれば、例えば日本語の勉強をしている外国人に聞かれたときにさらっと答えられます。
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