いきなりですが「、」の位置が違うだけで、異なる意味を持つ文の例です。
①夏休みの前に地元に帰った友人が電話をしてきた
②夏休みの前に地元に帰った友人が、電話をしてきた
③夏休みの前に、地元に帰った友人が電話をしてきた
②では、電話をかけてきた友達が地元に帰ったのは、夏休みの前。一方③は、地元に帰っている友達が、夏休みの前に電話をかけてきたということになります。
①だと、どちらの意味にも取れるため、この文章には確実に「、」が必要。このように、文章によっては「、(読点)」の使い方を間違えることで、読み手に大きな誤解を与えてしまいます。
また「、(読点)」を効果的に使えば、文章の質を高めたり、文章をスラスラと読ませたりすることも可能。
ここでは、ライターとして今までに数千ページの記事を書いてきた私が、句読点の正しい使い方の基本を紹介していきます。
句読点とは?
そもそも、句読点(くとうてん)とは何なのでしょうか。
読点は「、」
読点(とうてん)とは、文章の途中に登場する「、」のこと。
冒頭で述べた通り、読点の使い方で文章の意味が変わってしまうケースがある他、読点の乱用、省略によって読みにくい文章が出来上がってしまうことがあります。
このページでは、読点の使い方をメインで紹介していきます。
句点は「。」
句点(くてん)とは、文章の終わりに利用する「。」のこと。
使い間違いの可能性は低いものの、「」、()などと併用する際には混乱する人も少なくありません。句点の使い方も簡単に紹介しています。
読点の正しい使い方
まずは、文章の途中で利用する読点の基本的な使い方を見ていきましょう。
読点の使用頻度はどれくらい?
一文の長さで調節する必要がありますが、読点を必要最低限に抑えることで、読みやすい文章ができあがります。
目安は、一文あたり1回か2回。それ以上使うような文章は、一文が長すぎる可能性があるので、文章を分けることを考えましょう。
「、」のない文は息継ぎする場所がパッと見でわからないため、読み手がストレスを感じます。
「、」が全くない文章よりは読みやすい気もしますが、いちいち読点を入れてしまうと、文章のリズムが悪くなって読み手に不快感を与えます。
こんな感じがベスト。
前後で流れの変わる文章に使用
最も基本的な使い方がこれ。
1つの文章の中でも、その前後で内容の流れが変わることは少なくありません。その境目に「、」を使ってあげれば、読み手も流れを理解しやすい文章に仕上がります。
逆接時に使用
↓
タイ料理は辛いと言われているが、辛くない料理も多い
一見「タイ料理は」で区切っても不自然では無さげです。しかし、読点の前後で文章の流れが全く逆になっていると視覚的に示すことで、読み手が状況をすんなりと理解しやすくなります。
時間が変わる場合に使用
↓
中学校の時に野球をしてたけど、高校では吹奏楽部に入ったよ。
「中学」と「高校」という2つの時間の固まりの間に読点を入れることで、一文に2つの時間があるということが視覚的にわかります。
なお、野球の逆が吹奏楽ということにはならないため、上述した逆接の使い方とは少し違います。
原因に対する結果、理由に対する結論で使用
↓
読点の使い方がわからないから、サイトを見て勉強する。
日本人が自然に使うことの多いスタイルの文章。「読点の使い方がわからない」という原因に対して、「サイトを見て勉強」という結果が導かれた一文です。原因と結果の間に「、」を使えば、文章の構造が一目瞭然ですね。
↓
今日は車を運転してきているので、アルコールを飲むことはできません。
「今日は」で区切っても不自然ではありません。しかし、「車を運転してきている」という理由に対して「アルコールを飲めない」が結論だという構造をはっきりさせるために、その間に「、」を使った方が伝わりやすいです。
接続詞などの後に使用ื
↓
彼はアメリカ人だ。しかし、彼は日本語がペラペラである。例えば、これが彼の書いた文章だ。
一文が短い場合は、絶対に「、」を使用しなければならない、というわけではありません。しかし、文章をつなぐ役割を果たす接続詞や副詞などの後に「、」を入れることで、その言葉の持つ意味が強まり読み手に想いが伝わりやすくなります。
長い主語の後に使用
↓
世界中からたくさんの観光客を集めるタイの首都バンコクは、世界でも有数の渋滞都市だ。
意味の固まりを明確に表すために、長い主語や目的語の区切りに利用します。なお、主語が短い場合には、無理やり読点を使用する必要はありません。
など。
誤解されがちな文章で使用
↓
このワクチンにより、多くの人の命が助かるだろう
パッと見た瞬間に「より多く」という語彙が目に入ってしまうと、一瞬、文章の意味が分からなくなってしまいます。流し読みをするような場合は意味を誤解して取られがちなので、読点を使って文章を区切るのが無難。
漢字やひらがなが続く場合の区切りに使用
↓
一瞬、文章の意味が分からなくなってしまいます。
上の解説で利用した文章を、そのまま使っています。「一瞬文章」という言葉があるのではないかと錯覚してしまいそうですね。
平仮名には、こんなケースがあります。
↓
この病気は感染しやすいらしく、しばらく隔離されることになった。
「、」がないと平仮名が続いて非常に読みにくく、不快感のある文章になってしまいます。
句点の正しい使い方
上述したように、句点は文章の終わりにつける「。」なので、通常は間違いようがありません。しかし、「」や()を使う場合は、句点を使う場所によって意味合いが少し変わってきます。
「」と句点の使い方
文中に「」が入る場合、句点は必要ありません。
✖ 20時を過ぎると父が決まって言うのが「早く帰ってこい。」である。
✖ 20時を過ぎると父が決まって言うのが「早く帰ってこい」。である。
文末に「」が使われる場合は、「」の後ろに句点を付けます。しかし、「」が付く一文でその文章、段落が完結するのであれば、句点は必要ありません。
〇 20時を過ぎると父が決まって言うのが「早く帰ってこい」 ⇐段落完結
〇 20時を過ぎると父が決まって言うのが「早く帰ってこい」。しかし私は帰らない。
「」で文章が終わらない場合は、次の文章との関係もあるため句点を使わざるを得ません。一方で、「」の後に文がない場合は、句点がない方がすっきりと見えます。ただし、句点を付けても絶対に間違いというわけではなさそうです。
()と句点の使い方
一般的には、句点は()の後に置きます。しかし、引用元を表すような場合は、句点までを引用したという認識になるため、句点の後に()で引用元を書くことが多いです。
〇 彼が好きな作家は三島由紀夫だ(日本を代表する作家の一人)。
〇 庭の中心は、紅葉山を背景にしたひろびろとした池であった。(三島由紀夫、春の雪)
句読点の正しい使い方まとめ
最後に、それぞれの正しい使い方を簡単にまとめておきます。
読点
- 前後で流れの変わる文章に使用
- 接続詞などの後に使用ื
- 長い主語の後に使用
- 誤解されがちな文章で使用
- 漢字やひらがなが続く場合の区切りに使用
句点
- 文中の「」に句点は不要
- 文末の「」がある場合は句点は外に置く
- ()を使う場合は()の後に、引用の場合は()の前に句点を置く
かくいう私も、確認せずに文章をダラダラと書き続けると、誤字脱字があるどころか、意味の分からないところに読点を打ったりすることがあります。。。
文章を書きながらチェックをするのは面倒だと思うので、書き終わってから最後にまとめて読点の位置を確認してみましょう。
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